血友病とは?
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とある保因者の話(9話)
とうとう、その日がやってきた。 彼に血友病のことを話す日。 準備はした。 病院でもらった冊子も読んだし、伝えたいことはノートにまとめた。 わからないことがあれば、主治医の先生が説明してくれると …
とある保因者の話(8話)
叶人と私は病院を出て、何を話すでもなく駅に向かって歩き出した。 自分が保因者かもしれないことや、結婚する彼にうまく伝えられるかがぐるぐると頭を巡っていた。 突然、叶人が口を開いた。 「お茶でもしていく?」 …
とある保因者の話(7話)
先生は、少し考えてから口を開いた。「まず、お母さんについて整理してみようか。」私は先生の顔を見る。「お母さんは、わかっている範囲では家系に血友病患者さんがいない。でも、血友病をもつ叶人君を出産している。だから、保因者の可能性があるかもしれないね。」やっぱりそうなんだ。「ただね。」先生は続けた。「家系のことをずっと過去まで遡って確認するのは難しいんだよね。もし …
とある保因者の話(6話)
いよいよ、その日がやってきた。 叶人(私の弟)の通院日に合わせて、私は仕事を休み、一緒に病院へ向かった。 何度も来たことがあるはずの病院。 子どもの頃は退屈でしかなかった待合室も、今日はまったく違って見えた。 受付を済ませ、椅子に腰を下ろす。 少し離れたところには、小さな男の子と、そのお母さんが座っていた。 男の子はお気に入りなのだろうか、小さな恐竜のおもち …
とある保因者の話(5話)
翌日の夜、私は母の部屋を訪ねた。 「昨日の話なんだけど……」 そう切り出すと、母は「座って」と静かに椅子を勧めてくれた。 私は彼との結婚の話が進んでいること。 挨拶の日程を決めようとしていること。 でも、血友病や遺伝のことをどう話せばいいのかわからないことを、思いつくままに話した。 母は途中で口を挟むことなく、最後まで黙って聞いていた。 「お母さんだったら、 …
とある保因者の話(4話)
転機が訪れたのは、学生時代から付き合っていた彼と結婚の話が出た時だった。 付き合い始めて何年経っただろう。 就職してからも関係は続いていたし、お互いの家族とも面識があった。 父も母も彼のことを気に入っていた。 弟なんて、私より彼とゲームの話で盛り上がるくらいだった。 だから、結婚の話が出た時も私は特に不安はなかった。 「今度、うちに挨拶に来てくれることになっ …
とある保因者の話 (3話)
病院から帰る電車の中は、母は何も言わなかった。 でも、何度か私の方を見ているのがわかった。 何か話しかけようとしているような、それでも言葉が見つからないような、そんな空気だった。 私も何を話せばいいのかわからなかった。 「お腹空いたね」とか、「今日の夕飯は何?」とか、いつもなら何気なく話せることも、その日は口から出てこなかった。 家に帰ると、私はそのまま自分 …
保因者むけよくある質問
自己注射・治療編 Q. 自己注射は何歳くらいから始める子が多いですか? 年齢だけで決まるものではなく、本人の理解度や手先の成長、治療状況によって異なります。小学校高学年〜中学生頃に、宿泊行事や将来の自立を見据えて少しずつ練習を始める家庭もあります。最初は薬の準備、消毒、片付けなど、できる部分から関わる形で十分です。 Q. 自己注射を怖がります。どうサポートし …
とある保因者の話(2話)
小学校の高学年になる頃には、私は弟の通院について行かなくなっていた。 「留守番しててね」 そう言われると、少しホッとした。 正直、病院は退屈だったし、友達と遊ぶほうがずっと大事だった。 弟は相変わらず定期的に病院へ通っていた。 いつからだっただろう。家で母が弟に注射をするようになっていた。 「やだーーー!!」 弟の叫び声が部屋に響く。 「すぐ終わるから!」 …
とある保因者の話(1話)
弟が生まれるまで、私は父と母を独り占めしていた。 4歳の私にとって、それは世界のすべてだったと思う。休日には父が肩車をしてくれて、母は絵本を読んでくれた。夜になれば、三人で川の字になって眠る。そんな毎日が、ずっと続くものだと思っていた。 だから「赤ちゃんができたのよ」と母に言われた時も、最初はよくわからなかった。 でも、弟の健太を初めて抱っこした日のことは覚 …