血友病とは?
一覧はこちら保因者
昔、イギリスのビクトリア女王の子孫の男性が、次々と出血をしやすい症状が生じ、当時は“王家の病気、Royal Disease”とよばれていました。ロシアの最後の王朝のアレクセイ皇太子も出血症状で苦しんだといわれています。ラスプーチンと呼ばれる怪僧が祈りによりアレクセイ皇太子の症状を治療?していたという話もあります。その後、2009年にお墓の骨からのDNAを検査したところ、この出血の原因が第IX(9)因子の異常である血友病Bであることが明らかになりました。ビクトリア女王は血友病Bの遺伝子に“変異”がある「保因者」と考えられます。
ヒトにはX染色体とY染色体があり、その組み合わせで性別が決定します。男の人はXとYを1本ずつ、女性はXを2本もっています。血友病の遺伝子はX染色体にあります。この遺伝子に“変異”があると、第VIII(8)因子や第IX(9)因子はうまく作れません。母親から変異のあるX染色体をもらうと、男の人はX染色体を1本しか持たないために血友病になりますが、女の人は父親からもらったX染色体がもう1本別にあるので、ふつうは血友病になりません。このように、2本あるX染色体のうちの1本に“変異”をもっている女の人を、遺伝学の言葉で「保因者」と言います。