血友病とは?
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血友病家系女性・保因者のための情報サイト「生きる力を育てましょう」を運営する社会福祉法人はばたき福祉事業団です。
はばたきでは、血友病に関する相談を広く受け付けています。ご自身が血友病、あるいは保因者の方だけではなく、ご家族が血友病や保因者という方からのご相談も多く、成長と共に直面する様々な問題について全面的にサポートさせていただきます。
今回は、血友病のお子様をお持ちのご両親からの相談についてお話します。
ご両親からの相談は、「息子が血友病であることをどこまで伝えるべきか」というものでした。
血友病であることを周囲に広く周知させるべきなのか。
クラスメイトなどに伝えることでいじめられはしないか。
逆に、伝えないことで、事情を知らない周囲の人から叩かれたりした時に内出血を起こすのも心配……。
これらのお悩みはごもっともです。
ご両親の葛藤と息子さんの葛藤、それぞれについて考えていきましょう。
「血友病であることは先生にしか言わない」という選択
当時血友病である息子さんは9歳でした。
初めて彼と私たちが出会ったのは、血友病患者の子どもたちが集まる会でした。
多くの子どもたちが楽しく遊ぶ中で、息子さんは輪に入れないでいました。
様子を見ていると、他の子どもたちとの距離を詰めるのに苦労している様子が見受けられました。私たちが、彼が1人で遊んでいたところに話しかけると、意を決したのか心のうちを話してくれました。
息子さんは、どうやら学校でいじめられているようでした。
それも、血友病だからということではなく、掃除や体育をサボっているという理由らしいのです。
というのも、息子さんは、お母様の方針で血友病であることを学校の友だちには言わないよう言われていたのです。しかし、先生にだけは伝えていたので、体育や掃除を免除されていました。
しかし、同級生はなぜ息子さんだけが体育や掃除をやらなくていいのか理由がわかりません。そして、同級生の一人が、「なぜあいつだけサボっているんだ」と声をあげたことにより、いじめに発展してしまったのです。
息子さんは、自身がいじめに遭っていることを誰にも言えずに一人で抱え込んでいました。いじめられているという事実をお母様に話すことで、血友病であることを隠さねばならないというお母様の方針を否定しているように捉えられるのも不本意だったからです。この息子さんのように、ご両親を心配させたくないという思いからいじめなどの事実があっても誰にも言えないで悩んでいるお子様は少なからずいるようです。血友病はお子様と病気の付き合い方だけではなく、周囲に対する伝達の仕方までも含めた総合的なサポートが必要といえます。
血友病患者である自分を肯定できるか
息子さんの中では、いじめに遭ったことよりも、何より自分が血友病であることを言ってはいけないという状況が長年辛かったようです。
母親からは、「あなたは普通だよ」と常日頃から言われ続けているけれど、血友病であることが普通なのであれば、なぜそれを隠さなければいけないのか。
息子さんは、本当の自分を隠さなくてはいけないことで、存在してはいけないような気がしてしまうと泣いていました。そして、いっそのこと友だちに自分は血友病だと言ってしまいたいと思い悩んでいました。
これは難しい問題です。
お母様は息子さんが、「怪我をしないように、いじめられないように」との想いから
血友病であることを隠す判断しました。そのお気持ちについては理解もできます。
なぜなら、血友病と伝えたことでいじめられてしまった可能性もあるからです。しかし、今回のケースでは、その判断が裏目に出てしまいました。
大事なことは、友だちに伝える/伝えないということ以上に、子どもが血友病である自分自身を、自分が認めてあげることではないでしょうか。この息子さんは、自分の存在を長年ネガティブに捉えてしまって、それも辛かったのだと思います。
伝え方次第で、周囲の印象が変わる
学校やクラスメイトに伝えるとしたら、伝え方はすごく重要です。
例えば、大人である先生が血友病について誤った認識を持っていると、子どもたちに正しく理解させることが難しいかもしれません。
もし、血友病のお子さんをお持ちのご両親で、周囲の方に血友病をどのように説明すればいいのか悩んでいるという方がいらっしゃいましたら、一度はばたき福祉事業団にご相談ください。
アドバイスというとおこがましいですが、これまで血友病のお子さんやご両親と関わってきた経験を通じて、お伝えできることがあります。
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