血友病とは?
一覧はこちら保因者女性と月経の話
血友病についてのインターネットを検索すると多くの情報が手に入りますが、血友病保因者についての情報やサポートは十分整っているとはいえません。
そしてこれまで、血友病保因者の女性に出血しやすい人がいるという認識はされてきませんでしたが、2012年の世界血友病連盟(WFH)の調査によると保因者の約1/3は凝固因子活性が保因者ではない人の60%未満という報告がなされているように、保因者である女性も出血が止まりにくいという症状が発生している認知が広まりつつあります。
保因者女性は出血傾向をきたさないという誤った認識を変える必要がある
血友病患者を診察する医師であり血友病の研究者としても活躍されている自治医科大学教授の大森司先生に保因者女性の出血傾向についてお話を伺いました。
「医療者の中にも”女性保因者は出血傾向をきたさない”と誤って認識している人はまだまだいます。でも、保因者自身が出血傾向をきたしている場合、出産時や外傷時に治療を有する方もいます。保因者は血友病を発症しない、ではなく凝固因子活性が40%未満のときには軽症血友病として対応することが必要なんです。」
血友病を発症している訳ではないため、病院にかかるわけでもなく月経過多や内出血に悩まされながらも「そういうもの」と誰に相談するでもなくこれまできたという方も少なくありません。
私たちは、血友病保因者女性にどのような症状に悩まされてきたのかを取材してきました。取材からも、保因者女性がご自身についての正しい情報を取得したり、相談できる場が満足でないことが見えてきました。
保因者女性に思春期に感じていた”月経の悩み”についてお聞きしてみました。
ー思春期に”人と違う”と感じたことはありますか?
自分自身の成長の過程の中で、今になって思うと「血友病保因者だからだったんだ!」と思うところがいくつかあります。例えば生理がそうでした。10代、20代の頃は出血量が多く、生理用品も頻繁に変えなくてはならないので日常生活に支障をきたすほどでした。生理の時は自転車に乗ることにも抵抗がありましたし、長時間移動などはもってのほかというような状況でしたね。ただ、それが血友病保因者だからだという理解ではなく、みんなそんなものかと思っていました。知らないとはそういうことなのです。人知れず悩むというよりも、自分のこの状況が特別なことだとは思っていない。それがある時、友人と何かの拍子に生理の話になって「みんなと何だか違う」と気付くのです。
インタビュー全文はこちら(母から娘への伝達はどうする?時代と共に変わる血友病保因者に対する認識)
この方は成人するまで親御さんから保因者であることを知らされることがなかったとのことで、
成人してご自身で調べて初めて血友病保因者に関する情報を知ったといいます。
親御さんにとっても娘さんに保因者についての説明をするタイミングや内容については悩みがあり、場合によっては説明しないままきてしまっているというケースもあるようです。
血友病保因者についてどのタイミングでどのように知りましたか?
Aさん
私は中学校の時に血友病だった父が亡くなりました。そのタイミングで私が確定保因者であることを母から聞かされ、小さい時に検査を受けていたことも知りました。
母も詳しくは分からなかったようで、一度聞かされてからは深く自分で調べることはありませんでした。
Bさん
幼い頃から父が病院通いをしていて、周りの話から何となく血友病のことは知っていました。正確には覚えてないですが、高校生の時に両親から保因者であることを聞きました。抜歯をした時に出血がすごくて「保因者であることと関係あるのかな?」と疑問に思いましたが当時は調べることはありませんでした。
保因者女性によっても出血傾向はまちまちなので、特に日常生活に不安を覚えることなくこられる方もいらっしゃいますが、ご自身の出血傾向と保因者であることが結びつかない場合もあるのではないかと思います。
出血の中でも特に月経に関するお悩みを聞くことが多いため、月経過多の判断の目安をお伝えいたします。
月経過多の判断目安
月経過多かどうかは人と比べることができないためご本人では判断しづらいものです。 一つの目安としては、
・月経が1週間以上続く
・出血が多い場合は、1〜2時間も持たず生理用品を変えなければいけない
・月経の際、日常生活に支障をきたす
これらに心当たりのある方は、通常よりも月経過多の傾向にあります。
出血傾向を感じたら担当医、医療者に必ず伝えましょう。
前述のインタビューでもあったように月経だけでなく抜歯や手術など出血を伴う治療の前には必ず担当医や医療者に保因者であることを伝えるようにしてください。
凝固因子活性が低い保因者の方は女性血友病と診断されることがあります。その場合は医療費の負担軽減を図る制度を利用することもできます。
また、出産時にも保因者女性や生まれてくる赤ちゃんのケアが必要となるので血友病専門医のいる病院を受診するようにしてください。
保因者女性のお悩みに答えるための「血友病家系女性・保因者のための情報サイト」を用意しております。
月経や内出血、外傷による出血のお悩みはもちろん、出産のための病院選びや結婚を考えているお相手にどのように血友病について説明したらいいのか、また娘さんに血友病についていつどのように話せばいいかなど保因者女性が抱える悩みは多岐に渡ります。
私たちが運営する血友病家系女性・保因者のための情報サイト「生きる力を育てましょう」では、保因者女性のお悩みに答える情報を発信しております。
また、電話、メール、対面によるご相談も受け付けております。
お悩みの相談だけでなく、保因者にまつわる情報を教えてほしい、血友病の専門医を紹介してほしいなどなんでも構いません。
女性スタッフが皆様のご相談を伺います。
保因者女性がいつでも頼れる場所を用意しておりますので、お気軽にご連絡ください。
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