血友病とは?
一覧はこちら保因者女性と出産のお話
前回は保因者女性と月経について取り上げました。
関連記事:保因者女性と月経のお話
今回も保因者女性の多くが頭を悩ませる出産についてのお話をしたいと思います。
保因者の妊娠と血友病
保因者の方が、男の子を妊娠すると50%の割合で血友病の赤ちゃんを出産する可能性があり、女の子を妊娠した場合も50%の割合で赤ちゃんが保因者になる可能性があります。
保因者女性に知っておいて頂きたい出産に関すること
1、頭蓋内出血のリスク
生まれてくる赤ちゃんが血友病だった場合に頭蓋内出血のリスクがあります。経膣分娩では鉗子分娩・吸引分娩を避けるべきです。病院によっては帝王切開を推奨していますが、経膣(自然)分娩を選択される場合は産科と小児科の密な連携が病院側に求められます。
2、お母さんの出血量の懸念
出産時の出血リスクはお子さんだけでなく保因者女性も気をつけなければいけません。
保因者女性の中には凝固因子活性が40%未満(正常の場合は100%前後)の方もいらっしゃるため、あらかじめ輸血や製剤投与の準備をしておく必要があります。
ご自身の凝固因子活性を把握していらっしゃらない方は事前に把握しておく必要があります。
血友病保因者の受け入れ態勢が整った病院を選びましょう。
血友病についての正しい理解と、受け入れ態勢の整った病院をお選びいただくことがとても大切です。残念ながら過去の保因者女性へのインタビューでも、病院側の適切な対応を受けることができなかったという方がいらっしゃいました。
「以前、医師から「血友病保因者なのに結婚、出産するの?」と言われたことがあって。正しい知識を持った病院の情報があるといいなと思います。あの時は相当腹立たしかったですから。」
「妊娠時に相談したマタニティクリニックでは、先生が白血病と間違うほど血友病についての知識がありませんでした。早産だったため大学病院で帝王切開をしたのは、自分から選んだわけではないものの結果的によかったかなと思っています。」
「血友病保因者であることは医師に伝えていましたが、出産時に出血がひどく産後1週間はまともに起き上がれませんでした。退院時に、「血友病保因者は出血が多いから気をつけなくてはいけないんですよね。」と言われ今更そんなこと言われても、と。」
保因者女性へのインタビュー記事『血友病保因者女性の悩み、誰に相談すればいいの?』より抜粋
上記の方々は口を揃えて「血友病に対する知識やサポートの整った病院で出産するべき」と仰います。全国には血友病のブロック拠点病院があり、さらにブロック拠点病院との円滑な連携を取っている地域中核病院があります。
これらの病院の産科は、保因者女性を受け入れる態勢が整っており安心して出産を迎えることができます。生まれてくる赤ちゃんを緊急的に治療できるNICU(新生児集中治療室)などの連携も必要になる場合があります。
私たち、はばたき福祉事業団では血友病患者や保因者女性の受け入れ態勢が整っている病院をご案内させていただくことが可能ですのでまずはご相談ください。
『正しく知る』ことで出産にまつわる不安を解消しましょう。
不安は、『知らないこと』あるいは『何が正しいか分からないこと』で大きくなるものです。保因者女性の中には、成人するまで血友病について何一つ聞かされてなかったという方もいらっしゃいます。
でも焦る必要はありません。血友病保因者女性について正しい知識と経験を持ち合わせた病院は全国にあります。また、出産や育児などへの漠然とした不安は私たちはばたき福祉事業団にご相談ください。
多くの保因者女性のお悩みを聞いてきた女性スタッフが皆様のお悩みやご相談をお聞きします。
保因者女性に向けた情報を発信するサイト『生きる力を育てましょう』
にも出産についての情報を記載しておりますので是非ご覧ください。