お知らせ
一覧はこちらLINE相談窓口に寄せられるご相談・お問い合わせについて:事例紹介②
血友病について学び、未来の診療を一緒に考える情報サイト「みんなで考える血友病診療ネット」を運営する社会福祉法人はばたき福祉事業団です。
はばたきでは今年度より研究班のHPのご相談・お問い合わせに加えて、LINEでの相談窓口を設けました。これまでのご相談と異なりLINEからのご相談の特徴は家族内に血友病患者さんが不在(既に亡くなっている、離婚など疎遠)、家族内にいても協力が得られないという場合が多いです。つまり、誰に相談したらいいかわからず困っているということです。
LINE相談の件数はまだ多くはありませんが、研究班のHPからの情報提供や相談では解決しないような内容がほとんどで、中にはこちらがこれまでに経験していない、あるいは想定していない内容や状況の方も多くいらっしゃいます。
LINE相談窓口を設けたことにより、血友病の遺伝・保因検査などの悩みをかかえていたり、相談をしたりしたい方はまだまだたくさんいるということがわかりました。
今回は、前回に続き実際にあった相談についてご紹介します。相談者様は血友病という病気についての知識が全くない中で、何をどのようにどこに相談していいのかわからない状況でした。しかしインターネットではばたきのLINE相談窓口をみつけ、思いきって相談したところ、血友病について、そしてご自身の健康状態についての疑問が解決されたそうです。
血友病についてどこに/誰に相談したらいいかわからない方は、ぜひ気軽に相談できる窓口としてLINE相談を利用してもらいたいと思います。
事例②【実は父は薬害HIV感染被害者だった!】
幼少期にお父様を亡くされている女性からの相談がありました。
相談者様は結婚をし、子どもを持つことを考えるようになった矢先に、お母様から「あなたのお父さんは血友病だったのよ」と聞かされたそうです。
それまでにお父様の死因については聞かされたこともなく、血友病という病気についても全く知らなかったので、母に聞いてみましたが十分な説明は得られなかったそうです。
インターネットでもあれこれ調べてみましたが、一般的な知識は得られたものの、「血友病の父を持っている自分が知るべきこと」という意味では満足のいく答えがみつからず、問題は解決されませんでした。
そもそも相談者様のお父様は亡くなっているので、血友病のAかBかの確認は取れません。父方の親族に血友病患者がいるかどうかお聞きしたところ、「私も母も親族との付き合いがないので、確認することは難しい」というお返事でした。そこで血友病に詳しい医療機関の受診を薦めましたが、血友病拠点病院へいきなり受診することはハードルが高いとのことで、まずは近隣のクリニックを受診し紹介状を書いてもらい、それから血友病拠点病院を樹受診するように指南しました。
ようやく相談者様は血友病拠点病院にて医師から詳しい説明を受けることができましたが、さらに遺伝カウンセラーやソーシャルワーカーの支援も受ける中で、どうやらお父様が薬害HIVの被害者であることを知ることになりました。
相談者様は子どもを持つことを考えていることを伝え、母体の健康や出産に関しては今後、血友病拠点病院でフォローをしていくことになりました。また、父親が薬害HIV感染被害者であれば裁判記録から血友病AかBかが明らかになる可能性がでてきました。それが明らかになれば、今後の出産時の出血なども含め対応準備ができるため相談者様の不安が軽減されます。それだけではなく、薬害HIV感染被害者の遺族としての支援も受けられることになります。
血友病の父親をもつ女性は確定保因者のため、自身の健康状態を把握するために凝固活性検査を希望する相談はありますが、保因者検査の相談は基本的にありません。
しかし、今回のケースのように血友病の父と死別/離別などの場合は、そもそも血友病の情報(今回の相談では血友病AかBかすら不明)を得ていない、相談するきっかけがみつからないというという場合が少なくありません。
保因者の出産や手術など大きな出血を伴う時のリスクへの準備のためにも医療機関へお繋ぎすることは必須です。そのために、最初の一歩としてLINEのような気軽な相談窓口が重要だと感じました。