血友病Q&A
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血友病A、重症。親知らずを抜くか迷っています。血友病の友人から1週間入院して抜歯をしたと聞きました。仕事をしているのでそんなに長く入院はできないと思います。近隣の歯科医院で抜歯しても大丈夫ですか、その際の対処法を教えてください。
インヒビターのない血友病患者に対する止血ガイドラインでは、歯科治療の凝固因子補充療法について
1)抜歯や切開を伴わない場合:原則不要、止血困難であれば、20~40%、止血困難であれば12~24時間おきに出血が消失するまで追加輸注。
2)抜歯、または切開を伴う場合:50~80%、処置直前に1回のみ。経過に応じてピークレベルを20~30%になるように1~3日間
と記載があります。ただ、親知らずの抜歯は切開を伴って止血困難になることもあるため、慎重に行う必要があると思います。
当院(自治医科大学)では歯科口腔外科に一泊入院をお願いしております。抜歯直前に80%程度を目指して投与を行い、当日は12時間後にも補充し、退院後も3日程度は自己注射を続けていただいています。
また7日後に行う抜糸の際に再出血することがあるので、その際にも補充を行っています。トランサミンの内服を併用も効果的です。
抜歯については基本的には血友病患者の診療を行っている施設、もしくは経験のある歯科医での治療をおすすめしたいと思います。主治医には補充療法の必要性や投与法、止血困難時の対応法を確認しておくようにしましょう。
~併せてご覧ください~
血友病患者の口腔出血とその対策について、歯科医師として数多くの血友病患者の治療にあたってきた池田正一先生にお話を伺いました。
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Q&AはAMED エイズ対策実用化研究事業 研究代表者 自治医科大学 大森司『HIV関連病態としての血友病の根治を目指した次世代治療法・診断法の創出」この研究の班員である血友病診療経験が豊富な医師らにより回答しています。
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