血友病Q&A
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iPS細胞による治療について、血友病患者へ順番が回ってくるのはどの程度先のことでしょうか。そろそろ輸注の作業も難しくなってくるので期待しています。
回答者:自治医科大学教授 大森司
iPS細胞による治療は網膜症が先行し、パーキンソン病、血液領域では血小板低下に対する臨床試験が予定されています。これらの疾患で、まずはiPS治療の安全性をみることになると思います。
iPSをつかった血友病研究は、まだ、動物をもちいた基礎研究の段階で、iPS細胞を凝固因子をつくることができる細胞に変化させて投与する方法が主です。そのため、現段階でiPSによる血友病治療についての目処はたっていないのが現状です。
一方、遺伝子治療は、1回の治療により凝固因子製剤の輸注が長期間必要なくなる結果が、ヒトでの臨床試験で結果が得られています。長期の安全性や、どこまで効果が長持ちするか、については検討が必要ですが、私達の基礎研究では、ヒトに近いサルをもちいた検討では観察期間中(最長で10年以上)、治療効果は継続しています。