研究のご紹介
一覧はこちら国内血友病患者さんの抗AAV抗体の調査
最近ではアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターをもちいた血友病の遺伝子治療について、いくつかの製剤が海外で承認されました。AAVは病原性はありませんが、知らない間に感染していて、AAVに対する抗体を保有している患者さんが一定の割合で存在します。この抗体があるとAAVベクターをもちいた遺伝子治療の効果が減弱します。

自治医科大学の研究グループは、国内の主要な血友病診療施設の協力を得て、健常人100名、血友病患者216名の血中の中和抗体を測定しました。様々なAAVに対する抗体価を測定し、国内では全体の20-30%が陽性で、特に60歳以上の方に陽性率が高い傾向がありました。日本における中和抗体陽性率は欧米なみで、中国やインドよりはかなり低いようです。以上より、国内の血友病患者さん、特に若い世代は将来的に遺伝子治療の恩恵を受けやすい可能性があります(本研究はAMED JP18pc0101030の成果です)。
https://www-sciencedirect-com.jmul.idm.oclc.org/science/article/pii/S2329050122001565?via%3Dihub